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コロナウイルスのサプライチェーンにおける影響


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2020年1月に新型コロナウイルス(COVID-19 coronavirus)が世界的に蔓延し始めて以降、世間はウイルスによる世界への影響のニュースや論文で溢れ返っています。東京ではサージカルマスクなど衛生用品の売り切れが続き、イベントの自粛など多くの人が集まる場所を避ける人が多くなっています。

特に大企業ではテレワーク・在宅勤務の制度利用を推奨または義務化しているところも多く、また企業の中にはコロナウイルス問題がある程度収束するまで不急の採用を延期する傾向も見られます。東京の日常にも多くの影響を与えているコロナウイルスですが、新型ということで不明点もまだまだ多く、まだ暫くは元の日常へ戻れないであろうことが想定されています。

今年2月、中華人民共和国国家衛生健康委員会は中国国内だけで78,064件もの感染者を報告しました。幸いなことに同月12日の調査では感染拡大の勢いの減退が確認されているようです。気を抜くには早い段階ではありますが、専門家たちは、人々がパニックになりすぎないよう、自分の身を守ることに必死で他者に対して攻撃的になりすぎることのないようにと呼びかけを続けています。

健康面ではまずはできる範囲で自分の身を守り、治療法の開発など問題の収束の目処が立つまで乗り切れば良いといった方針は見えてきました。しかし、中国を発生源としたこの世界的なコロナウイルス騒動は、特にサプライチェーン・物流分野で働いている方々へ、ビジネス面で現在も将来的にも大きな影響が出ています。



中国はグローバルサプライチェーンにおいて極めて重要な拠点

2019年のMcKinsey Global Institute社のレポートによると、中国には世界の11.4%の貿易会社や35%のグローバル製造企業が集中しており、輸出国として世界トップレベルのシェアを誇っています。そんな中国での製造停滞の影響は事業会社や商社を中心に世界中に波及が予想されます。

中国でのウイルス感染拡大を防ぐ方法として主要となっているのは、できるだけ人同士の接触を避けるというものです。可能な限り拡散を防ぐため、最近は海外への渡航なども制限がかかっているようです。これにより、<中国各地での多くの製造工場が運休となる><港で多くの物品の出荷が止まる>などサプライチェーンのメインとも言える生産・物流の面にて停滞が発生しており、小売業などにも営業利益の伸び悩みや倒産などの影響が出ています。



コロナウイルス問題による各SCMファンクションへの影響


購買・調達

中国は特にサプライヤーとして主要な国であり、何か物品を仕入れる際に多くの購買担当者が真っ先に考え付く国でもあります。
2015年の MSG Systems 社の調査によると、調査を受けた企業のおよそ75が、最低でも25%のサプライヤーを中国での生産品が占めていたとのことです。特に機械・自動車メーカーでは中国製品の需要が高く、完成品を作るための部品の半分以上が中国で生産されているようでした。

言うまでもなく、完成品・部品や素材にかかわらず、中国製品はものづくりに必須な状況にあります。中国での生産が低迷している今、既に世界中で多くの産業状況も混乱に陥り、納期調整に追われることになっているということです。

例えば2月上旬、中国での工場停止により韓国大手のヒュンダイ社が自社製品の生産停止に追い込まれました。テスラ社や本田技研工業株式会社などの生産への影響も懸念されていますが、中国工場以外にも部品の供給手段を持つ両社へはヒュンダイ社ほどの大きな影響は出ていません。

中国製部品に頼りきりであった小規模なメーカーへの悪影響が一番大きく、他のサプライヤーを開拓するにも多大な負担がかかっています。


製造・生産

特に中国主要産業都市での人材不足により、ほぼ全ての業界において中国での製造業は停滞しています。中国製造業の従事者は主に移民たちで構成されていますが、2月末までに再度仕事に戻れた人数は全体の3分の1にも満たなかったとのことです。

製造業への打撃がどれほどであったのか、数字データを確認してみましょう。中国での移民労働者は全体で約3億人。そのうち28%、およそ1億が製造業への従事者です。1億人の中の3分の1以下、2700万人ほどのみが現在再稼働しているとのことです。工場で半数以上の労働者が働けない中では、工場の稼働を止める判断となるのは想像に難くありません。

海外渡航した従業員が戻れないなど渡航制限がボトルネックとなっていることから、いくつかの企業は社用のプライベート車・バスを用意するなどの試みを始めています。それでも、工場就労者たちの全員が戻るにはしばらく時間を要するでしょう。


物流・貿易・配送

中国各地で起こる地域封鎖や渡航制限が、国際貿易・国内物流ともに物流に大きな負荷を強いています。2月上旬から海・空港やトラックがオペレーションを停止しており、現在は貿易の一部再開を始めている所もあるとはいえ、オペレーションは中国北部に集中しており、全体の20~40%程度しか稼働していないとのことです。

中国は3月中を目途にオペレーションを再開させたいとの方針でいるようです。しかし、貿易や渡航が再度本格稼働を始めてなお混乱は予想されています。2月だけで中国からの渡航の46%ほどがキャンセルされていることを考えると、輸送会社の値上げに加え、中国国内にて出荷待ちの荷物による物流網のパンクの恐れが考えられます。


営業・市場の需要変化

供給が下がると共に数々の商品・サービスへの需要も低迷しており、多くの人々は外出するよりも安全な家に籠る傾向となっています。特に中国の小売業界では、国の要請に従って一時的に営業を中止する企業も多く見られます。
日本企業の中で営業見合わせを行った会社といえば、2月に約半数の店舗を臨時休業とした無印グループやユニクロブランドなどが挙げられます。ユニクロは同月21日には100店舗を再稼働させたにもかかわらず、総売り上げの20%ほどを中国での需要でまかなう同社には手痛い休業となったようです。

人々が政府の要請により不要不急の外出を避けるとともに、娯楽・高級品・ぜいたく品などの需要も下がっており、メーカーのみならずサービス業界も大きな影響を受けています。


将来的なグローバルサプライチェーンへの影響

コロナウイルスが感染の拡大を続けており、かつ未だ解明されていない点も多いことから、今後も混乱が続くことが予想されます。また、ビジネスが再開した後もサプライチェーンの各段階が徐々に回復していくまで数か月の影響が続くでしょう。

アメリカ・中国間の貿易戦争は、製造拠点を中国から近隣国へ移転させていく形ですでに始まっています。コロナウイルス問題により移転のプロセスは早められ、かつ一国集中ではなく様々なサプライヤーとのネットワークを持っておくことの重要性が明るみになりました。

パンデミックは「起こる」ものです。専門家たちが議論するときはそれが起こるか否かでなく必ず「いつ」起こるかが焦点となり、常に次の問題へ備えています。医療の専門家たちに倣い、サプライチェーンのプロフェッショナルたちもこれを機に次にまた起こるであろうパンデミックに備えてサプライヤー網・物流網を強化しておくべきなのではないでしょうか。

サプライチェーン・物流のプロとして働いている皆様から、今回のコロナウイルス騒動がご自身の仕事へどのような影響があったのか、今後どうしていくべきかなどのご意見をいただけましたら幸いです。

2020.3.13


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